自壊する帝国 佐藤優

国家の罠以来注目している。国家の罠は論理構成がとても面白い。肌に合ってしまう論理だ。今回は著者が外務省モスクワ勤務時代の物語。あえて物語という。ドキュメンタリーとは言わない。どこまでが本当か曖昧模糊としている。でも面白い。真実か否かは余り意味がない。
ソビエトの崩壊をこれほど具体的に描いた本を残念ながら知らない。マスコミの報道ではソビエト社会主義連邦共和国の崩壊は良く分からなかった。本書ではそれを生き生きと描いている。20世紀の最大の社会実験共産主義社会の崩壊に感慨を持つ。
かつて共産主義は青年期の麻疹と言われた。学生時代社会的な平等に価値を見いだした事があったが、社会は単純ではなく、ソ連社会でも平等が実現しない。収容所群島の実態が暴かれ理想も砕けた。今日くしくも日本共産党の宮本元委員長もなくなった。
これから私の子供の時代になるが私の生きた時代よりも幸せな時代を期待している。参議院議員選挙がまもなく行われるが、今回の選挙が今後の日本に大きな意味を持つと思う。

自壊する帝国

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