「法令遵守」が日本を滅ぼす

読売新聞日曜版の書評に取り上げられている。別の書評でも見たので今話題の一冊だろう。著者は東京地検特捜部の検事出身、現在桐蔭横浜大学法科大学院教授であり同時に同大のコンプライアンス研究センター長だ。読売の評者は談合の問題について述べている。別の書評では、法令順守の形式が重視され社会の実態が無視されている状況を本書は上手に指摘していると評している。
私はまだ本書を読んでいないが、日本で最初にコンプライアンス云々されたのは金融機関に対してだった。拓銀長銀等が崩壊し新しい金融統制が考えられた当時、金融庁の前身金融監督庁により金融機関に対して適用された。米国からの直輸入で兎に角書面等による形式主義が先行し、その用語も直訳で訳語がこなれていなかった。いま社会のあらゆる組織でコンプライアンスが叫ばれているが、その中身を十分検証する必要がある。社員にコンプライアンスを宣言させるなど企業活動にコンプライアンスを積極的に導入していると言われた米国でエンロン等の事件が発生したのはなぜか。

「法令遵守」が日本を滅ぼす (新潮新書)

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