波乱の時代 上下 アラン・グリーンスパン

上巻は自叙伝であり、FRB議長時代を中心に世界経済を描いている。読んでいるときにドラッカーの傍観者の時代を思い出した。ドラッカーの自叙伝であり、第一次世界大戦後のヨーロッパの雰囲気を見事に感じさせてくれた。
波乱の時代上巻も冷戦からソ連の崩壊、中国の開放政策、そしてITバブルの崩壊など数々の出来事を解説してくれる。こちらの方は同じ時代に著者とともに生きてきたので、その出来事をその時どう感じ、マスコミがどう報じたかを思い出しながら読んでいくと面白い。
レーガンの軍備拡張路線はソ連に対する経済戦争でソ連経済が軍拡競争にどこまで耐えられるか検討した上で実行している。結果はソ連の崩壊、共産圏の崩壊で終わった。
下巻は、個別の経済問題を取り上げている。グローバリゼーションや経済格差の拡大、高齢化社会と年金制度など面白い。しかし、金融については楽観的過ぎた。金融工学に自信を持ち、レバレッジの拡大が可能になったかのように記述している。クレジット・デフォルト・スワップCDS)についても楽観的だ。米国発の金融恐慌が起こる可能性を日々感じている現在本書は一読の価値がある。

波乱の時代(上)

波乱の時代(上)

波乱の時代(下)

波乱の時代(下)