風の払暁 満州国演義1 船戸 与一

1920年代以降の満州を舞台に物語は展開する。敷島4兄弟を主役に戦前の日中関係を描く。私がもっとも興味のある時代だ。
昨年旅行した上海も登場するが、諸外国の租界として繁栄した面影を見ることが出来た。小説では半世紀前の上海が描写される。
敷島4兄弟、長男太郎は奉天総領事館参事官、次男次郎は馬賊、三男三郎は関東軍将校、四男四郎は早稲田の学生と物語を展開していくのに都合よく配置されている。
1928年昭和3年張作霖爆殺事件が起こり歴史が動こうとしているところで第一巻は終わった。次が楽しみだ。
事件の首謀者関東軍高級参謀河本大作は46歳、張作霖は53歳、ちなみに蒋介石は41歳だった。みんな若い。
安倍前総理が若いといっても50歳を越えていた。それで突然政権を投げ出してしまうのだから、戦前の連中と比べてひ弱なことだ。 
昭和3年はオランダで第9回オリンピック大会が開催された。昭和天皇27歳の即位の大礼が京都御所で11月10日に行われた。
翌年昭和4年は株価大暴落暗黒の木曜日を迎え、世界大恐慌の発端となる。

風の払暁―満州国演義〈1〉

風の払暁―満州国演義〈1〉