総下流時代 藤井厳喜

本書を読むと暗い日本社会が浮かんできて鬱になる。調査によると一般のサラリーマンのほとんどが下流意識を持ち始めている。そんな状況で自分の子供に、将来のガイダンスができなくなってきた。著者は、親として最も悲しいことであるという。私も子供に自信を持って行くべき道を示せない。本人の選択に任せざるを得ない。
今は日本のサラリーマン社会が崩壊していく過程だ。グローバル化の中で日本人だけ高賃金でいられない。今後ワーキングプア化が避け難い事実として突きつけられる。正社員と派遣、パートの格差は安い賃金に収束していく。そして少数の富裕層と大多数の下層に分かれる。格差社会が全世界に広がって行く。
著者が言うように我々は歴史というものを進化するものと捉えている。しかし、ローマ帝国の後に暗黒の中世が続いたように、今後は中世の再来となる。
まとまりのある地域として、北米、ユーロとロシア、イスラム圏、中華圏などが生き延びる。日本はどこに属するのか。それとも独立した地域として生き延びるのか。移民を認めるべきかどうか。著者は反対する。フラット化、グローバル化する世界で日本はどう舵をとるべきか考えさせられる。
今残された時間は短いがどうすることもなく過ぎて行く。

総下流時代  All the Lower People (光文社ペーパーバックス)

総下流時代 All the Lower People (光文社ペーパーバックス)