反転 闇社会の守護神と呼ばれて 元特捜検事・弁護士 田中森一

2006年1月31日東京高裁で懲役3年の実刑判決を受けて上告中。
田中氏は無罪を確信していたが、実刑判決に衝撃を受ける。
正直に絶望感を書く。精神的な苦境も語られる。
起訴事実に対して無実を主張する。
起訴事実に対してはそうかもしれないが、本書を読んだ印象ではやはり闇社会に絡み取られた。
平戸島に生まれた貧しい生い立ちから自伝が始まる。遠藤実の涙の川を渉るとき
も貧困の生い立ちから自伝が始まる。いずれも立身伝だ。しかし、田中氏は自伝の後半で自分
の貧しさと比較出来ない生まれながらの貧困のあることに気がつく。
ヤメ検弁護士の依頼人交友関係はバブル時代の有名人のオンパレードだ。
ヤクザなど闇社会と政、官、財界の関係など週刊誌などでしばしば話題になるが、筆者が赤裸々に
語る事実はまさに小説より奇なりだ。その筆者は、自分が気がつかない、入れて貰えないさらに深い
部分があるのではないかと気がつく。
また、怖いのは国家権力だ。前半は検事の仕事内容だが、冤罪の発生する理由が分かる。
さらに東京地検特捜部はまずストーリーを作り強引に起訴する。
外務省職員佐藤優の起訴などは国策捜査だ。東京地検特捜部を巨悪を捕まえる庶民
の味方などとマスコミは持ち上げるが、検事も国家組織の役人にすぎない。
上層部の意向には逆らえない。また所詮自らの出世や生活を第一にする実態も暴かれる。
自己弁護も含めて、正直に思うことを書いた本だ。

反転―闇社会の守護神と呼ばれて

反転―闇社会の守護神と呼ばれて