影絵の騎士 大沢在昌

いつも期待を裏切らない作家だ。作品を書くのに大変な体力がいるのではないかと思う。
大沢ワールドにどっぷりつかり、後はジェットコースターに乗ったような感じだ。力任せに引きづり回される。スピードの速い展開に振り回されるのが快感だ。
2050年の新東京、東京湾に人工島を建設し、原子力発電所と映画産業の拠点ムービー・アイランドが出来ている。TVは3大ネットワークが支配している。以上の舞台設定で進行する。作者持ち味のロジックで物語りは走り出す。主人公元優秀な調査員が走り回り死体の山が出来る。
新宿鮫シリーズのシリアスなロジック展開よりこの手のシリーズが好きだ。アルバイト探偵シリーズのような軽いロジック展開のシリーズがこの作家の持ち味だと思う。
この作品でTVと映画の比較をしているが、現実と別世界の映画と割り切った作品、人工的な作品が持ち味の作家だと思う。作られた大沢ワールドで思いっきり振り回されるのが快感だ。

影絵の騎士

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