転ばぬ先の経済学 1

難しい経済学の本ではない。日常生活でいかに経済学の考え方を活用するか。いろいろな人生の場面での判断基準を教えられる。その判断基準を何にするかが大きな問題だ。身長を測るのに体重計で量るようなことをついつい日常生活で行い意思決定している。
本書にサンクコストという概念が出てくる。これまでに投資した時間と費用やエネルギーを考えるとそれまでの努力をやめられない。しかし、別の見方をすると今から何をすべきかを考えるべきであって、既に初期投資で失ってしまっているものに何時までも拘泥すべきでない。過去の失敗をそのまま続けて未来の失敗を手にするか、過去の失敗と決別し未来の成功を手にするかという選択肢が解決すべき課題になる。自分の経験でも一定の投資や関与をするとなかなか諦めがつかない。しかしサンクコストと認識して新たな視点で将来を考えることも必要だと分かる。
言われてみるともっともなことだが、なかなか自分の中で体系的にまとめられない知恵を具体的な例を用いて語ってくれる。一読の価値がある。経済学の難しい数式など全く出てこないのだから安心して読むことができる。

転ばぬ先の経済学

転ばぬ先の経済学