ミスター・チャイナー実録・中国に消えた投資マネー ティム・クリソルド著 日本経済新聞社

1990年代初頭から中国に投資した外国人の実録。英国人の著者が、アメリカの投資家から何億ドルも資金を集めて中国に投資した物語。
法制度も確立していない中で合併会社を何社も設立し、いかに中国人の共同経営者に苦労させられ、損失をだしたか。著者は、投資先を求めて、中国中を人里離れた山奥まで尋ね周り、とんでもない山奥の谷あいに何千人もが働く工場をいくつも見て回る。どうして、こんな所に工場はあるのか、そっと教えてもらうと、毛沢東フルシチョフと決裂し、ソ連との戦争も覚悟して工場を安全な所に建設したということだった。アメリカで集めた資金を様々な工場に投資するが、資金を持ち逃げされたり、中国の役所の手続きに妨害されたり悪戦苦闘する。青島ビールも物語りに出てくる。
今の中国の経済成長が信じられない時代の話だ。訒小平が黒猫でも白猫でもねずみを採る猫がいい猫といい資本主義を持ち込んだ時期に中国の可能性を信じて投資した結果とんでもないことになった。但し、著者は公平な視点で状況を記述し、中国に対する愛情が感じられる。だからこそ現在も家族とともに中国で暮らしている。
とにかく面白い本です。

ミスター・チャイナ―実録・中国に消えた投資マネー

ミスター・チャイナ―実録・中国に消えた投資マネー