極楽谷に死す 西木 正明

1940年、秋田県生れ。早稲田大学教育学部を中退。平凡出版に入社し、「平凡パンチ」「週刊平凡」「ポパイ」の編集に携わる。1980年に独立して作家活動を開始し、「オホーツク諜報船」で日本ノンフィクション賞新人賞を受賞。1988年には「凍れる瞳」「端島の女」で第99回直木賞を受賞する。
1970年前後を舞台にした短編集。現在50代後半の作家が1970年頃の友人と再会し、過去に遡って当時の状況を物語る。
べ平連の活動や学生運動など当時の状況を振り返って、どうしてそんなに熱くなれるのかと妙に突き放した気持ちで読めるし、作者の意図もそうだと思う。
平凡パンチをモデルにして雑誌掲載のヌード写真を撮影する物語はなかなか雰囲気が良く、さわやかな印象だ。
全体を読んでなぜか五木寛之の作品を思い出した。30年以上昔熱くなりながら五木の小説を読んだ。
今西木のこの短編集を読んで時間の経ったことを実感した。

極楽谷に死す

極楽谷に死す

青年は荒野をめざす (文春文庫)