戦力外通告 藤田 宜永

初めて作品を読むが、どうやら肌の合う作家だ。久しぶりに翌日を気にしながら
深夜まで読んだ。
題名はシリアスだ。主人公は50代半ばで解雇され失業保険を受けながら就職活動
をしている。
しかし、経済的に余力があり、妻が仕事を始めているので切迫感はない。
田舎の中学の同窓会を機会に同級生それぞれの人生模様が描かれる。失業中の主
人公が同級生の間の狂言回しを勤める。
主人公の昔の恋心の発展や同級生の結婚生活、子供など身近な問題に引き込まれ
てしまう。
笑えないのは愛人とセックスできなくなる同級生だ。
その瞬間に役に立たなくなったことがある。相手に申し訳ないし、恥ずかしいし
対応に困った。なるほどと思う女性作家の助言が紹介されている。
50代の何をしてもどこか面白くない気持ちに共感を覚えた。先が見えているが、
もうひとつふたつ山を越す必要がある世代と書かれている。
読後、配偶者に今後の気持ちを確かめてしまった。
中高年の読者にお勧めします。

戦力外通告

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