徴税権力 落合博実

朝日新聞元記者による徴税の裏話。金丸信事件の舞台裏など興味深い。また、国税幹部による資料を今だから明かせるとしていろいろ内輪話がでる。
面白いが基本的におかしい。政官財の癒着批判があるが記者クラブ批判もある。情報を貰う立場で本来報道すべきことを報道せず、時効になってから実はこうだったと臆面もなく本を書くのはいかがか。
田中角栄の金脈も海外で話題になってから、実は政治部記者の間では周知のことだったと臆面もなくいう。新聞記者には何の反省もないのか。
もちろん取材源に迫るには相手の懐に入ることも必要だと思う。だが、その理屈は警察が暴力団と癒着する時にも使われる論理だ。週刊誌記者、フリーのライターが記者クラブから締め出されている。大手新聞社と官の癒着を恥と感じていないのではないか。
そもそも、内部情報を得るために渡した見返りは何だったのか、何もなかったのか疑問に思う。
不愉快なのは「終わりに」で国税庁会計検査院を比較して国税庁をよいしょしていることだ。国税庁に嫌われる覚悟で国税に肉薄した記事を書くべきではないか。

徴税権力―国税庁の研究

徴税権力―国税庁の研究